ドバイの帽子屋が凄かったって話
今日も絶賛帽子屋開きたいマンなんだけれども、わたくし思い出の帽子屋ってのがあるんですよね。
帽子ってどんなイメージ?
わたくしね、それまで帽子って、いわゆる「陰」のものだと思ってたんですよ。
セットしてない髪を隠したり、深くかぶって疲れた目元を隠したり。
ある意味「陰」方向への変装アイテムとしてとらえていた部分があったのよね。
大変失礼な話なんだけども。
その意識がまるきり変わったエピソードを披露させて頂きます。
あれは2013年10月のこと(もう10年前なのか)。
ノラはひとり、ドバイの地に立っておりました。
社会人2年目、溜まる貯金を使う間もなく職場と家と夜間スーパーを行き来するだけの生活の中、ふと降りてきた天啓…
「そうだ、ドバイ行こう」
ドバイといやあキンキラセレブの街!
五つ星ホテルに砂漠のオアシス!ゴールド・スーク!石油王!ヒャホウ!!
ということで、贅沢をするためだけに一人ドバイ旅を敢行したわけです。
詳細はいずれ旅行記にでもしようかと思っているんだけれども、
7つ星ホテル「ブルジュ・アル・アラブ」でアフタヌーンティーしたり(ひとり)、
砂漠で若いにいちゃんのアテンドで優雅にラクダツアーしたり(ひとり)、
宿泊先の5つ星ホテルが無料グレードアップで上から2番目のセレブ部屋になったり
(寝室2つ、バスルームふたつ、プライベート庭つき、ただしひとり)、
目論み通り贅沢三昧をしてたわけ。
そんな中、涼しい場所で買い物でもすっべや、と繰り出したショッピングモール。
ドバイにはかの有名な超ドデカショッピングモール、「ドバイモール」をはじめとして複数の大規模モールがあるのだけれど、わたくしが選んだのはこちら。
「ワフィモール」。
古代エジプトの造形をイメージしているらしくピラミッドみたいな形!
中に屋内スークみたいなものもあってお手軽古代エジプト体験ができちゃうモールなのよね。もちろんスーパーも入っていて普通の買い物もできちゃうから滞在中2.3回行ったわ。
このモールの一角に、小さな小さなそのお店があったのよ。
ガラス張りの店内から覗いたのは鮮やかで上品なピンクの壁紙。
「アラ、これもしかしてランジェリーショップかしらん」とちょっとドキドキしながら入ったお店には、数々も見たこともないようなヘッドドレスたちが並んでいたの。
小さなトーク帽にド派手な鳥の羽をこれでもかと盛ったものや、
鮮やかな色合いのテキスタイルを巨大な薔薇の形に見立てて頭にゴスっと乗っけたもの…
何でもアリの、とにかく頭部を華やかに魅せることに特化した兜みたいなものたち。
「いや誰がどこで被るねん」
あっけに取られたわたくしのもとに、店主が来て言ったの。
「びっくりした?これぐらいゴージャスにしてもいいのよ、ドバイワールドカップではね」
ドバイワールドカップ?????
オーイエーなるほどー、なんて曖昧にごまかして逃げ帰ったホテル(セレブ部屋)で調べたわよ。
ドバイワールドカップ…それは世界最高峰の馬たちの集う、世界最大規模の競馬の祭典。
合計3000万ドル(!)とも言われる高額賞金を掲げたこの大会には、世界中から紳士淑女の皆さまがお集りとのこと。
そしてその場にはドレスコードがあって…。
女性は正装の上、ヘッドドレス着用を推奨
ヘッドドレス着用を推奨。
これかー!!!
あの武装みたいなヘッドドレスをこんなに自然に着こなせるなんて、さすがセレブ!!
と思うのと同時に、
「帽子って、隠すだけじゃないのか…」
と衝撃を受けたの。
帽子は装飾。頭部を華やかに魅せる、そういう用途があるのか…!
完全なカルチャーショックだったもんだから、なんだかもう一度じっくり見たくなって、翌日またお店に行っちゃったのよ。
ただ眺めるだけだったけど、その感覚はまるで宝石を指くわえて見てるのと同じ感覚になっていたわね。
それから10年、その記憶はずっと眠っていたわけですよ。
確かに衝撃ではあったのだけれど、日本に戻ったわたくしの日常とはあまりにも距離のある世界だったから。
その記憶が再度掘り起こされたのにもきっかけがあったのだけれど、
それはまたいずれ。
それではまた、
どうぞよろしくご贔屓に。